ヘスケスとは、ラグビーワールドカップの南アフリカ戦で、
あの逆転サヨナラトライを決めた、カーン・ヘスケスのことです
もう先月のことですが、あれはラグビーファンには忘れられない美しいシーンなので、
今更ですが、もう一度振り返ってみたいと思います
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まずゴールライン手前でマフィがハンドオフでタックルをずらしてから、
少し”ためて”、一番外側に走りこんできたヘスケスにラストパスを送ります
ヘスケスの走りは、俊足でありながらタックルに強い重心の低い素晴らしいフォームですが
この球を受ける時、彼は(たぶん歩幅を合わせるために)空中にぴょーんと飛んで、ステップを切ったんですね
実際は50センチ位でしょうが、正面からの映像では1メートル程も跳んでるように見えます
長い間ラグビーを見てますが、こんな流れるようなジャンプステップを見たのは初めてです(しかもこの場面で!)
そして着地するやいなや、トップスピードでゴールラインに向かっていきますが、
相手ディフェンダーもすぐ目の前に迫ってます
もうロスタイムで、これがラストプレーなんですが、優勝候補相手のこの試合の勝敗のみならず、
今までワールドカップでジャパンが30年近くも受け続けた、屈辱のリベンジへの思いも・・ううっ
そう、その全てがこの走りにかかってます
普段は端正で優しい顔のヘスケスも、もう鬼の形相です!
赤いマウスピースがホントに般若のようですが、勇気の出る、いい表情ですねー
ディフェンダーはトライ(ボールをゴールラインを越えた地面に着けること)を阻止しようと、
体をすくうように横から跳びかかります
ヘスケスは虎の子のボールを、接触で落とさないように体を捻って、
頭からゴールラインに飛びこんでいきます
相手は手では防ぎきれないと思ったのか、今度は足を入れてきます
このプレーさえ止めたらその時点で勝ちなので、優勝候補の意地をかけて相手も必死です
それでもそれを振りほどいて、遂にトラーイ!!
そのまま芝生の上を横滑りしながら、トライを確信したヘスケスが左手を上げてアピールしてます(カッコいいー!)
ただ、フラッグの位置から推測すると、サイドラインに押し出されるまで、ほんの50センチ程で、
今改めて見てみると、これはけっこうギリギリのプレーだったんですねー
実はヘスケスは178センチとラグビー選手としては小柄ですが、体重は100キロ近くあるんです
パワーとは、重さ×スピードなので、普通の選手だったら多分トライ出来なかったかもしれません
実況をよく聞いてみると、チームプレイをずっと言ってた解説者が、最後のほうは
「ヘスケスに回せば・・」とか「ヘスケスはどこだ」と、言ってます
この勝負に勝つのが、どんなにすごいことだってわかってたので、つい本音が出たんでしょう
トライ直後はみんな飛び上がってヘスケスに抱きついてますが、イングランドの関係者も一緒に叫んでるのが
この試合の素晴らしさを物語ってます(審判はさすがに冷静で、相手選手はボー然としてますが)
ベンチも大騒ぎで、観客のおじさん達はもう泣いてます・・(今まで悔しかったもんなー)
結局最後はマフィとヘスケスの個人技で勝ったんですが、改めて彼ら南洋系ルーツの身体能力には驚きました
あの走りを出来る日本人選手は、残念ながらまだいないでしょうねー(全盛期の大畑くらいでしょうか)
外人選手の多いチームに違和感を唱える人もいるそうですが、
これは高校球児が甲子園に行くために、地方の高校に行くようなもんだと思います(たぶん)
彼らと一緒にプレーすることで、日本人選手も今以上にレベルアップして
いつかまた、こんな美しいスポーツシーンを見せてもらいたいもんです