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前回の種田陽平氏に続いて、憧れの人シリーズは、今回は久住有生氏です
久住氏は左官屋さんです(この画像はホームページより)
自分もたまに”趣味”で漆喰を塗るんですが、木工やアイアン等、”広く浅く”の
何でも屋の自分が、一番好きな作業といえば、実はこの左官かもしれません
左官は一般的にはモルタルや和風の壁塗りのようなイメージですが、ホントはすご~く奥が深くて
建築の中では、最もアートと融合したクリエイティブな業種じゃないかって思ってます
そして現在その頂点にいるといわれてるのが、この久住氏なんです
平面の壁に宇宙を作る、”コテの魔術師”ともいわれています
たまにテレビでも特集されてますが、その風貌と独特の佇まいも、またかっこいいんですね
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その久住氏が塗った壁が、阪急のウインドウディスプレイに使われているそうなので、見に行きました
う~ん、でも自分としては、久住氏の”壁だけ”でよかったような気がしますが・・
この土は彼の地元の淡路島からもってきたそうです
本物の職人さんは、のり(接着剤)を入れずに、土の配合だけで塗っていくそうです。へ~
イメージに合わせて、素材から自分で探して使うそうですが、そんなやり方は
分業が進んだ昨今では、設計やクライアント側の圧力で普通は許されないもんですが・・
もちろん彼だからかもしれませんが、それだけ(他の人が指示できない)専門性が高くて
個人の力に左右される、独特な仕事なんだと思います
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もう一人のカリスマ左官、”挾土秀平”氏は、大河ドラマ”真田丸”のオープニングのタイトルを
土で表現してます。他のテーマをイメージした壁も、かっこいいですねー
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自分が初めて左官を経験したのは、まだ二十代の頃でした
その頃は大阪の交野という所で、”らたん房”というドマイナーな籐家具屋をやってたんですが
(その時の師匠が、京都の”小さい部屋”さんのパパだったんです)
たまたま昼ご飯を食べに行った近くの喫茶店で、そこのオーナーと少し仕事の話をすると
いきなり「家具を作ってるなら、ここを改装してほしい」といわれたんです
オーナーがちょうどインドに凝ってた時期だったので、
インド喫茶に改装して、カリーを出したいということでした
籐家具屋といっても、この頃はまだ半分プータローのようなもんで、時間もたっぷりあったので
お店の改装などまったく経験がないのに、すぐに「やるやる!」と言ってしまいました
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、・・そして、一人で二か月半かけて、普通の喫茶店がこんな空間に変わりました
(これはまだオープン前の写真です)
木の床と家具、土の壁、籐のカウンター、丸太組のよしず天井等々・・
自然素材だけのオール手作りです
この時の壁が、初めて塗った漆喰だったんですね
奥の壁とベンチは色粉を混ぜてアースカラーっぽくしました
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こちらはオープンしてからの写真です
写真ではよくわかりませんが、たしかこの壁は目地を描いてレンガっぽくしたはずです
ここはやる前に、オーナーから「いつまでかかってもいい」といわれたんで(?)
ホントに好き放題やらせてもらいましたが、なにせ初めての事ばかりで、試行錯誤の連続でした
でもこの経験が後でけっこう役にたったし、結果的に今の仕事にも繋がってるような気がします
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その後の一時期は、漆喰塗りにハマって、伊丹のカフェバーや、
新地のスペイン風ラウンジの内装にも関わりました
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左官作業はけっこうな重労働で、特に腕が疲れるんですが、自分はたまたま中高と
6年間剣道部だったので、リストが鍛えられてたのが役に立ったんでした
ディスプレイ仕事がメインになってからは、納期のサイクルが早いので、
店舗仕事は出来なくなったんですが、なぜか今でもたまに漆喰が塗りたくなります